▶バズーカのように大きなカメラや双眼鏡などを手に、参加者は目当ての鳥を眺めます。(写真提供/根室観光協会)
Things to Do
根室でしかできないDEEPなこと
地元漁師に教わる、
落石の海と人が織りなす物語
#ネイチャークルーズ #バードウォッチング
根室の海を飛び交う海鳥を間近で見られる、落石ネイチャークルーズ。漁船に乗り、約2時間半かけてユルリ・モユルリ島の海域を航行。希少なエトピリカをはじめとし、自然のままの海鳥やラッコなどの海の生物を間近で眺めることができます。
そしてこのクルーズで船を操縦するのは、地元の漁師たち。時には日々の漁で見つけた海鳥や海の魅力を教えてくれることも。漁師町ならではのバードウォッチングを楽しめるのです。
※記事の内容は2023年時点の情報になります
Contentコンテンツ
漁船だからこそ楽しめる、ここだけのバードウォッチング
落石ネイチャークルーズが始まったのは、2010年のこと。根室にやってきたある人の「この地域の海鳥は観光資源になる」というアドバイスがきっかけでした。2009年に海鳥や環境に関する調査を行い、翌年から運行を開始。海鳥の姿を撮影したい人から、まだ出合ったことのない鳥を一目見たいという人まで、世界中から多くの鳥好きが集まります。
落石ネイチャークルーズの大きな特徴は、漁船に乗ってバードウォッチングができること。その理由は、より海鳥に近づくことが出来るから。観光客船では上から見下ろすようなかたちで海鳥を眺めることになりますが、漁船にはそのような高さがないため、同じ目線で観察できるのです。さらに毎日漁に出ている漁船には海鳥たちも慣れているため、近づいてきてくれるそう。
▶真っ赤なくちばしのエトピリカ。全国の中でも生息しているのはこの地域のみです。
▶冬に見られるケイマフリ。目の周りの白い模様が特徴です。(写真提供/根室ネイチャーセンター 澤尾秀勝さん)
そして漁船を操縦するのは、乗り慣れた漁師たち。落石漁業組合の組合員全員に呼びかけて集まった、7人の地元漁師です。同乗するガイドが海鳥を見つけて案内しながら、漁師はその生態を崩さないよう、適度な距離を保ちつつ船を操縦します。
船を操縦する漁師の思い
落石で漁師を営む小谷裕介さんも、その一人。根室で生まれ、父の後を継いで4代目です。普段はタコ漁を中心に、コンブ漁やウニの養殖を行っています。
▶漁師の小谷裕介さん。クルーズに関する話だけではなく、漁師としての思いについても話してくれました。
落石漁業組合の呼びかけに父が応じたのをきっかけに、落石ネイチャークルーズの船頭を務めることになった小谷さん。「仕事として船を動かす」という意識で、鳥に対する興味はあまりなかったそう。しかしネイチャークルーズで船を操縦するときには、ガイドと一緒に鳥を探していると言います。「お客さんはバードウォッチングをしに来て、ここで見たいっていう鳥がいて。見られたときはすごく喜んでくれるので。そういうのは嬉しいですよね。それに好奇心はありますから、珍しい鳥を見つけたときも嬉しいです。見せられなかった時には申し訳ないなとも思います」。
漁師の仕事だけでも日々忙しいはず。なぜネイチャークルーズに対しても、そこまで力を尽くすのか。尋ねてみると「喜んでもらった方が良いじゃないですか。できる限りのことをしたいと思いますよ」とさらり。「そのために鳥を見つける努力もしますし。知識も持たないといけないと思って、勉強もしました。辞書を買ったり、ガイドさんに聞いたりして。そうすることでどんどん知識がたまりました」。小谷さんがネイチャークルーズに取り組む背景には、鳥を見にはるばる落石までやってくる人々を満足させたいという思いがありました。
▶取材に伺った時期は、ちょうどコンブ漁の真っ最中。出荷前のコンブに囲まれながら、話を伺いました。
さらに、ネイチャークルーズで得た経験や知識から広がっていったものもありました。海洋生物の調査に訪れる専門家や大学の関係者とのつながりです。「特にアザラシやラッコに関しては、ガイドさんより詳しいぐらいになりました」と笑います。ラッコにも出会えるネイチャークルーズ。見かけたときには参加者へラッコの話もするそう。「昆布を獲るボートでラッコを見せるサービスもやってみたい」と、さらに活動を広げようとしています。
環境が変われば出合える鳥も全く異なるのがバードウォッチングの魅力。落石ネイチャークルーズで体験できる出合いは、地元の漁師の存在あってこそ生まれるものでした。
Information
インフォメーション
落石ネイチャークルーズ
根室市落石西112
TEL.0153-27-2772
運行期間/1~2月、6~9月
料金/大人8,000円、子ども5,000円
※3日前までの予約制
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